この夢二は珍しく好きな部類で、というのも、やはり人物モティーフではないからだと思う。
夢二が描く美人画は、その様式が一種の時代的な流行として確立され、当時の人々から持て囃され、受け入れられたものではあるが、正直自分好みではなかった。線には特に不満もないし、服飾も色遣いも、どちらかと言えば好みの部類だった。ただ、どうしてもあの目鼻立ちや口元、総称すると顔貌表現そのものが、私には刺さらなかった。
それが前提にあるので避けがちだったのだが、このキノコはどうかと言えば、実に自分好みだった。黒地に赤は映える。モティーフ自体も、その描かれ方や配置も、全てが自分にとって絶妙だった。弧を描くように配されたもの達のバランス感覚には脱帽する
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