普段は温厚で動かず、じっと同じ位置にいてつまらなくないのだろうかと心配してしまうくらいなのに、鹿せんべいをちらつかせた瞬間に動きが俊敏になる。ナマケモノかというくらいに動かなくて、これは鹿さんではなくただの人形か?なーんて思わせるくらいに日頃は自由気ままな日なたぼっこライフを送っている彼らも、鹿せんべいには執着していて、重い腰をあげて動き出す。
どの鹿さんにせんべいをあげようかと考えているうちに縮まる鹿さんとの距離1メートル。徐々に加速しながらこちらへ向かってくる鹿さんは動きも目つきも狩人のそれに似ていて怖い。絶対に仕留めよう、自分のモノにしてやるんだという強い意志がこちらにまで伝わってきた。せんべいを早く手放したくて仕方なかった。こんな気持ちになるなんて。
遠足の時も餌付けをしたが、こんなに取り囲まれはしなかった。運が良かっただけでこれが鹿さんの日常なのか、飢えていただけなのかわからないが、鹿さんに好かれたくないと思ってしまうくらいのトラウマを植えつけられたので、もう鹿せんべいはしばらく買わないと心に決めたのでした。
※この話は奈良公園の鹿の話ですが、写真は宮島の鹿です。
(2013.3.15)
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